外交戦略の無能さが国家を滅ぼす

 

近代日本が巻き込まれた最初の世界経済戦争であり、

 

幕末、鎖国から開国へと転換した日本は、世界経済に激しく晒され

 

初めて体験する為替レートに翻弄される日本経済の実態を描かれたものです。

 

佐藤 雅美 文藝春秋 2000-04
売り上げランキング : 948577

by ヨメレバ

 

 

この中の出来事の中には、今においても通じるような

 

外交戦略の重要性や既得権益に対する人間の振る舞いが垣間見えます。

 

日本は幕末に開国し、様々な国と交渉を始めます。

 

今は1ドル115円という形で為替で各国の通貨を取引していますが

 

当時は金や銀の重量に基づいた交換レートでした。

 

まだそんな世の中で日本は、先進的な取り組みをしており

 

幕府は歳入確保のために、1/3の量の銀に対して幕府の刻印を押すことで本来の銀の量とみなす、

 

今でいうお札や硬貨の意味合いで通貨を流通させていました。

 

そうすることで銀の量を1/3に抑えつつ、これまでと同様の取引を可能としていました。

 

その当時の先進的な考えを理解できなかった欧米諸国は日本の主張(1ドル1分)に対し

 

1ドル3分というレートを要求してきます。(日本の銀の量は1/3しかなかったため)

 

そうなると、日本では銀を他の国と比べて1/3の価格で買え、それで金に交換して海外で売れば

 

3倍の銀になってリターンされるので、次は小判が海外に流出します。

 

小判が海外に流出されると、それを防ぐために小判(金)の価値を上げて流出を抑えます。

 

そうなると、次は国内の物価が上がります。つまりインフレです。

 

商人は物を仕入れる度に、インフレの状況に応じて価格転嫁すれば問題ありませんでしたが

 

武士は俸禄が一定のため生活は苦しくなり、幕府に対する不満が募ります。

 

また、幕府も金の価格を引き上げるということは銀の価値を下げるということなので

 

銀の量を1/3にして浮かせていた歳入がなくなることによって、力が弱くなります。

 

この後の流れはが明治維新へと導かれるわけですが

 

武士の不満、幕府の歳入減が結局のところ江戸幕府の終止符を打たせたといっても

 

間違いではないと思います。

 

ここまでを想定して国の外交責任者は各国と交渉しないといけないということです。

 

当時の外交担当者自身が無能だったのもありますが

 

外交のお作法を理解していなかったのと、

 

担当者をコロコロと変える幕府の組織運営にも問題があったのだと思います。

 

いち早く是正して、あるべき形にしないといけない欧米諸国の外交官も

 

母国にバレないように自分たちの財産をせっせと増やしていたようです。

 

自分たちが想像しているような高尚なレベルで人間は動いておらず

 

外交の重要性を改めて痛感させてくれる本です、オススメです。

 

佐藤 雅美 文藝春秋 2000-04
売り上げランキング : 948577

by ヨメレバ