社会的イノベーションは民主主義の国から生まれない

 

北京の街を歩いているといつも目に入るのがこれでした。

 

 

我々の生活でもお馴染みの自転車です。

 

私の中国の自転車のイメージはこんな感じで

 

 

こんなブリキの自転車を乗っているイメージがありました。

 

(出展:http://mccormack.blog.fc2.com/blog-entry-74.html)

 

それが今、大きく変わろうとしています。

 

 

レンタサイクルです。

 

聞けば聞くほど仕組みが面白かったので自分が感じたことをまとめてみました。

 

日本におけるレンタサイクルの仕組み

 

日本のレンタサイクルはあらかじめ決まった駐輪場があり、

 

そこから自転車を出し入れして利用する形態がほとんどです。

 

私が住む神戸市もこんな感じで幾つかの駐輪場間を行き来できるようになっています。

 

(出展:http://www.kobelin.jp/map/)

 

しかし、停める場所が限られているため自由度が制限されてしまいます。

 

支払いは会員登録してクレジットカードで支払いをするか、

 

交通系のICカードをかざして都度払うかのどちらかです。

 

(出展:http://www.kobelin.jp/howtouse/)

 

後から説明しますがこのICカード支払いがビジネスモデルのネックになっています。

 

以上が日本における主なレンタサイクルの仕組みです。

 

北京におけるレンタサイクルの仕組み

 

一方、北京のレンタサイクルはなんと借りた自転車はどこに乗り捨ててもOKです。

 

自分の家の玄関において、そこから最寄り駅まで行き駐輪するということも

 

仕事中に1、2キロ先の客先に行くのに近くにおいている自転車に乗り

 

客先の近くで乗り捨てることも可能です。

 

お店の前にあったり、

 

 

大学の構内に停めてあったり、

 

 

これもお店の前に駐輪(放置?)されていたり

 

 

通勤の足として利用されていたりとかなり自由な設計になっています。

 

 

初期登録は日本と違い、手続きが多いです。

 

登録時に300元のデポジットを払ったり、身分証を登録したり、

 

アリペイなどの決済用アプリの登録をしたりする必要があります。

 

その事前登録があれば、下のように自転車に貼られたQRコードを読むことで

 

その自転車が使えるようになり(ロック解除)、利用後は鍵をロックすれば

 

その間の時間が請求される仕組みです。

 

 

つまり、どこからどこへでもいける便利さが大きな特徴になっています。

 

QRコードという手軽なインターフェイスだからこそ、

 

自転車にQRコードのシールを貼るだけで、初期費用も安くてすみます。

 

日本のようなICカードによる決済はリーダーが必要なのでこの決済方法をしている限りは

 

柔軟なビジネスモデルを作ることができないと思います。

 

QRコードとICカードにおける、支払いの違いはこちらを参照

 

決済ビジネスを変えるWeChat Payment

 

 

レンタサイクル事業に対する目的が違う

 

日本のレンタサイクルは運営会社が自転車を「時間貸し」するレベルのビジネスである一方、

 

北京のこの事業は国民全体で自転車をシェアするような形で

 

まさに「資源を社会的に共有する」という

 

共産主義的な思想がありながらも、シェアリングの観点で見ると

 

どの国よりも一歩先をいった事業の形になっているのではないでしょうか。

 

UberやAirbnbのような個人の資産をシェアし、

 

それを他人が利活用するようなレベルをはるかに超える、

 

この壮大すぎるビジネスモデルの裏には色々な背景・仕組みがあります。

 

1つ目は自転車大国であること

 

元々中国はご存知のとおり自転車大国であり、

 

自転車を駐輪するための場所が十分に確保されています。

 

つまり社会インフラが十分に整っているという背景があります。

 

 

次に人が多いということです。

 

自由に自転車を乗り捨てできると、自転車の配置がいずれは偏ります。

 

それをどう調整しているかというと人力で対応せざるを得ません。

 

私が街を歩いていても、下の写真のように頻繁にトラックが駐輪場に来て

 

自転車を搬入出をしていました。

 

 

自転車にGPSが搭載されているので、そのばらつきを見ながら

 

たくさんの人員を投入して日々調整をしているんだと思います。

 

論理で解決できない部分は力技で帳尻を合わせているということになります。

 

若手不足の日本ではとてもできる維持管理体制でないということがわかると思います。

 

最後に3つ目は共産主義であるということです。

 

民主主義の国であればあり得ないぐらい

 

個人情報の管理が徹底されています。

 

自転車の不正な使用などで個人が特定されると減点扱いとなり

 

その情報が国家を通して別の機関の情報へ連携され

 

たとえば、融資の査定が厳しくなったりとペナルティにつながっているようです。

 

そうすることで、ある程度は秩序のある自転車の利用が行われているようです。

 

 

まとめ

 

中国固有の背景はあるにしても、国が主導でテクノロジーを活用すると

 

このような社会モデルができるという、とても興味深い部分を見せてもらいました。

 

イノベーションは傾倒したアイデアから生まれると言いますが

 

それに加えて、収支関係なしに圧倒的な投資によって実現できるイノベーションもあります。

 

軍事技術がその一つの例です。

 

北京のレンタサイクルも同じ状況で、ベンチャー会社は国がテコ入れしている企業です。

 

10万台もの自転車をばら撒いて管理するとなると相当の継続的な投資が必要です。

 

その投資の結果として、個人情報が一元管理され個人の行動が隅々まで把握されて

 

さらにその信用状況まで見ることができるようになります。

 

社会的なレベルのイノベーションは民主主義の国から生まれるのではなく

 

社会主義・共産主義の国がテクノロジーを国レベルで活用することにより

 

非常に先端的な社会が形成される可能性があるのではないかと

 

北京を旅をして感じました。

 

ABOUTこの記事をかいた人

masaki

神戸で働く、ITエンジニア   IT×グローバル×医療で世の中に貢献できるよう、日々奮闘中。 スポーツと海外旅行が趣味です。